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印鑑登録制度は役所のハンコ体質?
千葉市長が、役所のハンコ体質批判の文脈で、印鑑登録制度の見直しを言ったそうです。

「印鑑証明という全時代的な本人確認手段が見直せない行政に合理化など期待できません」とか。

市長、まさか混同されているとは思いたくないですが、「役所のハンコ体質」と、印鑑登録制度は全く別の問題です。

印鑑証明は、確かに登記など役所が求める場合もありますが、別に役所が求めているものではなく、銀行の書類やら不動産契約書やらと社会のニーズがあるから、公証事務があるわけであり、世の中がサインでいいなら、印鑑登録事務なんていらないんです。

別に、役所側が、それがなくなると仕事がなくなって困るからある制度ではないのです。

それが、「ハンコ屋さんの存続」などといった、トンチンカンな方向に議論が向かって、ますますわけがわからなくなっています。

おっと、このブログは市役所職員を目指す方向けに、情報提供する場であり、個人的な意見は千葉市の広聴にでも言えって感じですので、ここでは印鑑登録というものについて、説明しておきます。

契約書を取り交わすとします。

そこで、契約を取り交わす双方が、その契約内容を互いに理解し、合意する意思を表すために、署名します。

ここで、署名だと、後で「オレはそんな契約した覚えはない。誰かがオレに成りすまして勝手にサインしたんだ」とか言われないために、ハンコを押してもらう方が安心する、というのが「ハンコ文化」「ハンコ体質」です。

これは、べつに「役所の」ではなく、日本社会が、サインよりハンコをより信用しているということです。

ところで、ハンコなんか百円ショップで誰のハンコでも買えます。それでは「オレはこんな契約にハンコ押した覚えはない。誰かがハンコを買ってきて勝手に押したんだ」と言われる心配があります。

そこで、重要な契約書なんかには、いわゆる「認印」ではなく「実印」を押すようにします。

では「実印」ってなんですか?

ある日、「オレの実印はこれだ」と言って押したって、別の日になって「いや、オレの実印はこっちの方だ」となりえます。

では、「実印」であることを誰が証明するんでしょうか?

そういう社会の契約や取引の信用、安定というニーズのために、役所がそれを「実印」と証明しているのです。

では、役所ではどうやってそれを「実印」と認めて証明するのでしょうか?

そこで、よく窓口で「融通がきかない」などと批判される、厳しい本人確認手続(免許証など顔写真つき公的身分証明書が本人確認できれば、即日で登録できますが、健康保険証など顔写真のない証明しかない場合、確認の手紙が自宅に郵送され、それを持参しなければならない「二度手間」)をクリアしないと、印鑑登録や、その証明がとれない、というものです。

しかし、そこで「融通きかせて」実印と安易に認めては、逆に悪用のリスクが高まり、「オレはこんな印鑑を登録していない。なりすましだ」といった契約トラブルになりえるのです。

ところで、千葉市長の言う
「今はどの役所も印鑑証明カードを忘れたら免許証などで本人確認ができても出直しです。こんな馬鹿なことはありません。何十年前の国の指示に基づくものですが、千葉市は条例改正で見直します」
について、この「印鑑証明カード」についても、説明しておきます。

実は市長の指摘の通り、この「なんでオレが本人で免許証もあるのに、印鑑カードがないと印鑑証明が出ないんだ!?」というトラブルは、毎日のように市民課窓口で繰り返されています。市民感覚からしたら、顔写真つきの免許証より、顔写真もない「印鑑カード」の方が重きを置かれていることが不思議でなりません。

補足しますと、この「印鑑カード」というのは、はじめて実印として印鑑を登録した時に、役所から交付されるカードです。昔は、登録した実印を持って役所に行き、その印鑑と役所で保管されているその人の登録の印影を見比べて、同じと判定されれば印鑑証明を交付していたようなのですが、時間もかかるし、現在では印鑑カードをもってくれば、その登録番号をキーにして印鑑証明が発行できるような仕組みになっています。

ここでも疑問に思うのは、「印鑑カードを落として拾われたらどうするの?」ということで、役所の窓口でも、カードさえ持ってくれば印鑑証明を出してしまうのではなく、登録者の氏名・住所・生年月日を記入させ、それが登録内容と一致した場合のみ発行します。そういう仕組みなので、印鑑カードには基本的に氏名・住所・生年月日が記載されていません。単に拾っただけで誰のカードかわからない人には印鑑証明はとれません。

ただ、ここまでのハナシだと、「免許証で本人確認できるのに、なぜ印鑑カードじゃなきゃダメなの?」という疑問は解決できません。

しかし、ここが役所の実務を知らないとわからないところなんです。

印鑑証明は、本人だけが取りに来るものではないんです。むしろ、家族などが代理で取りにくることがものすごく多いんです。

では、代理人が取りに来たらどうするか?通常の証明書類は「委任状」といって、「私○○は、△△証明の取得を、受任者◇◇に委任します」といった書面を提出させます。

しかし、この委任状というものも、悪用しようと思えば誰でも書けるもので、誰が書いたかわからず、本人が書いたものと証明することはできません(委任状に印鑑登録した実印を押させる、という堂々巡りになり、笑えます)。

そうなると、個人情報の記載されていない印鑑カードと、持ち主の氏名・住所・生年月日を書いてもらい、それが一致したら代理人に印鑑証明を出す、という方が実質的にはより安全なやり方と言えます。(本人の印鑑カードを預けることで、委任の実質的な意味。そして、個人情報を書かせることで、単に落し物を拾ったわけではないことが担保できます。)

このように見てまいりますと、代理人はともかく、本人が免許証などもってきて本人確認できれば印鑑証明を出してもいいのでは、と思います。

ところがこれも丁寧に考えますと、本人が印鑑登録カードを持ってこないのは、ただ家に忘れてきただけなのか、紛失したのかがわからないということがあります。印鑑登録カードを紛失しているのに、登録自体はそのまま「生きる」という規定は困難であり、そんな規定にするくらいなら、いっそ「印鑑登録カード」自体をやめにしてしまえばいいじゃん、ってことになります。

すると、本人が免許証持って窓口に来る場合は「印鑑登録カード」は交付しない、代理人に証明書取得をお願いする可能性がある場合は「印鑑登録カード」を交付する、という希望制にする、あたりが考えられます。ちょっと煩雑ですね。

千葉市長はいったいどんな条例改正をされるでしょうか。
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